債券と株式市場の関係と金利に隠されたメッセージとは?
投資の勉強をされている方に、ぜひともインプットしていただきたい情報があります。
それは、「金利」です
金利ってローンとか銀行の利息のことだよね?そんなに重要なの?なんか面白くなさそうだし…


実は株価にも影響しているし、世の中に隠されたメッセージもあると思うんだよね
株価にも影響している?🙄
よくニュースとかでも「長期金利の上昇が株価に影響」なんて言葉を見ます。
その原因をきちんと理解することで投資戦略を練ることができると思います。
実は、株価の適正値を考える上でも金利は重要なのです。
ぜひ、続きを読んでみてください!
金利と株価の関係
金利が上がると株価は下がる

結論から言えば、長期金利が上がると株価は下がる傾向にあると言われています。
理屈としては、債券というのは基本的にはリスクフリーな金融商品です。
金利3%と言われれば、3%分の利益が約束されるのです。
じゃあ、お金が減る心配がなく高い利益を得られるなら債券に投資すりゃいいんじゃね?と考えるわけです。
つまり、金利が上昇すれば、株式市場に投資しているお金を債券市場に移すという行動をとります。
よって、購入していた株式を売るわけですから、全体的に株価が下がる傾向にあるということです。
だいぶざっくりとした説明なので下でもう少し詳しく解説していきます。
債権市場は株式市場より大きい
そもそも債権市場というのは、個人投資家にとってあまり縁がある市場ではありません。
特に日本では、低金利な状態が長いですから個人レベルでは債券に投資するメリットはほとんどないです。
ただ、機関投資家や各基金、ヘッジファンドなどが債券を扱っており、おおよそ金額としては株式市場の2倍程度の規模であると言われています。

実は債券の方が市場規模が大きいんですね。
債券市場は2020年で1京2000兆円くらいと言われており、現在の世界全体の時価総額58兆ドル(ざっくり6000兆円)と言われてますので、約2倍と言っても良いでしょう。
市場規模の大きい債券市場の動向が株式市場にも影響度が高いということがわかります。
ちなみに債券には会社の借金=社債と言われるものもありますが、一番主なものは国が発行している借金=国債です。
国の借金なので、国が倒れない限りは元本保証がされています。どこぞの会社よりも倒れるリスクは少ないですよね。
また、国の予算も当然会社の予算よりもはるかに高いことは容易に想像できますね。
よって、債券市場は主として国債の売買が多く、金利についても国債を見ておけばいいということが言えます。
債券と金利の関係
債券の取引を実際にご自身でされることはないと思いますので細かいことは割愛しますが、債券価格と金利の考え方は理解しておく必要があると考えます。
まず、債券は満期償還(例えば1年後に100円返しますよ)という支払ってくれる価格が決まっています。そして、現在価格は変動しています。

株式と考え方が違うのが、現在価格に対して将来の価格は決まっていませんよね。そのため、債券は基本的にはリスクフリー資産と言えるわけです。(倒産リスクはありますが)
現在の価格80円に対して、1年後に100円返しますよ、と言ってくれているので1年間で20円の利益を生み出します。
では、例えば債券価格が10円下がった場合を考えてみましょう。
すると、現在価格は70円になり、1年後に100円返してくれるので、利益が30円に増えますね。

つまり、債券価格が下がると、利益が増える。つまり、利回り(金利)が上昇するというメカニズムなのです。
逆も同様で、債券価格が上がると、利益が減るので利回り(金利)が下降するということです。
金利は米国10年物国債利回りを見たらわかる!
金利は「長期金利」と「短期金利」に分けられます。
長期金利は1年以上の期間の金利を指します。一方、短期金利は1年未満の金利です。
長期金利と言っても、1年とか10年とか30年とかいろいろありますが、一般的には10年物国債利回りのことを指していると思っていただいた方がカンタンだと思います。
Tradingviewを使われている方であれば、「JP10Y」とか「US10Y」が10年国債利回りのシンボルになります。

今、日本では10年物国債利回りはほぼ0%になるように日銀による市場操作がされています。
日銀のオペレーションであるマイナス金利政策やイールドカーブコントロールなどは聞いたことはありますでしょうか。

よって、日本の国債はオダブツ状態でほとんど動かないので、ホーク🦅はアメリカの10年物国債利回りを見ています。
以下の金利の話も米国10年物国債利回りの話だと考えてもらうと良いと思います。
金利が上がると株式が下がる理屈はどうなる?
さて、債券価格が下降して金利が上昇する場合を考えましょう。
現在、コロナショックもあり、低金利の状態が続いています。日本はここ数十年ずっと低金利状態で、銀行に預けていても手数料分にもならんという感じです。

そんな低金利状態で債券の魅力はないですよね~
ですが極端な話、金利が10%だよとなった場合はどうでしょう?
100円の債権を買えば1年後に110円になることが約束されているわけです。1億円分買えば1000万円の利益が得られます。
ん??そういや債券の場合はほぼ確実になんですよね🙄
え、確実だったら債券もいいんじゃない?


日本株式の平均的なリターンは3%くらいと言われているから、2~3%くらいになれば債券の強みがかなり出てくるでしょうね
そうなると、変動リスクの高い株式で投資をするよりも債権に投資した方がいいと考える投資家が増えるのは当然ではないでしょうか?
株式投資から資金を引き揚げ、債券に投資する動きが強くなります。
しかも、債券の方が市場規模が大きいわけですから株式を売る動きが強くなる=株価が下がるというメカニズムです。
金利に隠されたメッセージとは「時間の価値」
すべてのモノに等しく与えられた「時間」
時間というものは、すべての生き物に等しく与えられた概念です。
誰にとっても1秒は1秒で、1日が24時間ということに違いはありません。大富豪になってもキングボンビーに憑りつかれても1日は24時間です。

しかし、時代によって1秒の価値って変わると思いませんか?
例えば、好景気/不景気の世の中を選べるのであれば、誰しも好景気の世界を過ごしたいですよね。
と、いうことは、不景気よりも好景気の1秒の方が時間の価値が高いと思いませんか?
これを表しているのが「金利」です。
金利とは時間の価値=景気感を私たちに教えてくれていたのです。
金利と時間の関係
金利というのは、例えば100万円を借りたら、貸した人が100万円を使えないことに対する埋め合わせとして支払うコストのことです。
例えば、友人からニンテンドースイッチを1か月借りたら、1か月間は友人が使えないわけですから、返す時にはお菓子を加えて返したりしますよね。このお菓子が利息です。

時間が長ければ長いほどお返しの品は豪華になっていくのではないでしょうか?
好景気の時にお金を借りたいなと思うと、みんながその時を楽しみたい=時間の価値が高いわけですから、たくさん利息を払わなければなりません。
つまり、逆に言えば金利が高いときは景気が良い、金利が低いときは景気が悪いということもできるわけです。
金利は正確に景気の過熱感を計っており、「景気の温度計」なんて言われます。
あれ、でも好景気って株も高くなりませんっけ?
景気がいいと株が上がる?でも金利も上がる?
景気は巡るよ
金利や景気の上下というのは同時ではなく、一般的には順番に巡ってきます。
景気回復→金利上昇→景気後退→金利低下→景気回復→…
という風に順番に変動するのが一般的です。
金利を使った理論株価の計算方法
株価というのは、それぞれの企業が得る利益とその成長率をベースに決められます。
一般的に理論株価を求める計算式は以下の式で表されます。

企業が得る利益が高くなれば、株価も上がります。これはわかりやすいですね。
また、金利が高くなると、金利の項は分母にいるので理論株価は小さくなります。
他の要素として、企業が大きくなっていくと、売り上げや規模が大きくなっていきますので、株価は上がりそうですね。
また、成長率が上がれば、分母のマイナスの項になっているので、理論株価も上昇します。
株価は先を見据えて変動します。つまり、利益が大きくなりそうだ、成長しそうだ、と思うからその企業の株を買い、株価は上昇していくのです。
しかし、金利が上がっていくと、企業が銀行から借金をする場合の利息が大きくなるため、返済にコストがかかったり、積極的な投資ができなくなりそうな気配がしますよね。
つまり、金利の上昇は利益や成長率の項に冷や水をぶっかけることになるわけです。
この式では、分母に金利がいることで理論株価の補正になっているのです。
21年2月にはグロース株が激しく売られるという現象が起こっていますが、これは金利の上昇を起点に起こった出来事であると言われています。
なるほどねぇ…じゃあ、ホーク🦅に100円貸すから来週200円で返してね!


それはヤミ金…
いかがでしたでしょうか。
金利を学ぶことで現在の経済の体温感や、これからの世界がどうなっていくかの見通しが少しわかるようになると思います。
米国10年物国債利回りを見て、現在の株式市場の過熱感も見ながら、投資計画を立ててみてください。
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